通勤中に交通事故!これって労災おりるの? ~教えて?!弁護士さん Vol.1~

キャリア@PRO人

通勤中に交通事故!これって労災おりるの? ~教えて?!弁護士さん Vol.1~

引用元:キャリア@PRO人  通勤中に交通事故!これって労災おりるの? ~教えて?!弁護士さん Vol.1~  

職場に通勤する途中、交通事故に遭って怪我をしてしまった、あるいはビル工事の現場から落ちてきた資材に当たって怪我をしてしまった…。通勤中とはいえ仕事場での事故ではないし、これって労災保険の給付は受けられるの?

仕事と暮らしに関する悩み事に、現役弁護士がお応えする連載企画「教えて?!弁護士さん」。今回は通勤中に交通事故を起こしてしまったらどうなるの?という会社員Aさん(35歳)の疑問にお答えします。

今回の相談のポイントは、通勤中に寄り道をした先で事故にあったという点です。

まず前提のお話をしますと、労働者が通勤途中に負傷したり、病気になったり、死亡したりした場合のことを、法律上「通勤災害」といいます。日本では、労働者が通勤災害に遭った場合、労災補償制度の一環として、治療費などの給付を受けられる制度が整えられています。

この給付を受けるためには、「通勤」途中であることが大前提ですが、家庭を持つサラリーマンなら夕食の食材を買いにスーパーに寄ったり、子どもの送り迎えに保育園に寄ったりと、仕事の行き帰りに寄り道をすることも多いですよね。相談者さんのケースでも、職場に向かう途中で郵便局に寄ろうと思い、いつもと違ったルートを進んだ先で遭遇した事故です。

このようなケースでも治療費などの給付を受けることができるのか?以下より解説していきましょう。

①私的な寄り道は原則、労災対象とはなりません。ただし…

通勤とは法律上、”労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復や、就業の場所から他の就業の場所への移動等を、合理的な経路及び方法により行う”ことをいます。よって今回のケースのように、通勤途上で就業または通勤と関係のない目的のために合理的経路を逸れてしまったり(逸脱といいます)、通勤途上で通勤と関係のない行為を行ったり(中断といいます)した場合、逸脱・中断以降の往復は「通勤」ではなくなってしまうのが原則です。

例えば、仕事帰りに通勤では通らない場所で同僚と食事の約束をしていたとしましょう。通勤経路を外れたような場合は「逸脱」に当たり、通勤経路で途中下車し、居酒屋で一杯飲んで帰る場合は「中断」に当たります。一度通勤を逸脱・中断したら、もう一度通常の経路に戻ったとしても、その後の事故等に労災保険が適用されないのが原則です。

ただし、逸脱や中断が、日用品の購入、病院での診察治療、選挙権行使、家族の介護、子どもの送り迎えなどの日常生活上必要な行為を、やむを得ず必要最小限に行ったために生じた場合には、逸脱・中断の間を除く部分については通勤に当たるとされます。この時に事故等に遭った場合には、労災保険が適用されます。国の指針でも、「帰宅途中に惣菜等を購入する場合」、「クリーニング店に立ち寄る場合」、「出勤途中に子どもを預けるために託児所に寄る場合」などが例として挙げられています。

また裁判例でも、会社員の男性が仕事の帰り道に週4日程度、通常の通勤経路外にある義父の家に立ち寄って介護を行っていたケースがありました。介護後の帰宅途中、通勤経路に復帰してから起きた交通事故については、労災保険の適用対象になるとした判例もあります(大阪高裁平成19年4月18日判決)。

つまり、通常の通勤経路での事故であれば、寄り道をした・しないに関わらず労災認定されますよ。通常の通勤経路を逸れて寄り道した先で事故を起こした場合には、労災認定されませんよ、ということですね。

②会社の行事であっても業務ではない社内の付き合いの場合は、労災不適用の判例も。

終業後、会社のレクリエーション活動としてのボーリング大会に参加した。会社行事として毎年恒例の忘年会に参加した。このように業務ではないものの、社内の付き合いで寄り道せざるを得ない場合があると思います。その帰宅途中の事故は労災保険の適用がなされるでしょうか?

この問題については、裁判例があります(東京地裁平成22年10月4日判決)。
この裁判例では、新入社員が従業員会主催のバドミントン大会に参加した後、同僚の運転する自動車に同乗して帰る途中に交通事故に遭い負傷したというものです。裁判所の判断は、「各部署対抗のバドミントン大会であり会社が運営したものではない」こと、「参加については任意であり全従業員の2割程度しか参加していなかった」こと、「就業時間外の開催であったが時間外手当等の対象となっていなかった」こと、「参加者の管理等がなされていない」ことなどを理由に、バドミントン大会は業務ではないと判断。帰り道の事故について労災保険の適用を否定しました。

この裁判例からも分かるように、会社レクリエーションに参加する場合、それが業務として扱われるものであるかどうかが、労災保険の適用の有無を決める上での大きな要素となります。会社主催の行事で社員全員の参加を意図するものであり、不参加の場合には欠勤等の取扱いがされるというようなものであれば、その帰り道の事故には労災保険が適用される可能性があるでしょう。

労災保険との関係では、自分が参加する行事が業務といえるのか否かによって、適用の有無が変わってくることを予め意識しておきましょう。また、会社レクリエーションを運営する立場になる場合にも、その行事が強制参加で業務性を有するものなのか否かを明確に周知しておけば、後のトラブルを防ぐことができます。

③単身赴任者の通勤災害は、労災適用が認められます。

今度は単身赴任者のケースです。自宅から遠方の場所に転勤となったために、単身赴任をし、週末は家族の住む自宅へ帰るというサラリーマンは少なくないでしょう。

このような生活スタイルの場合、単身赴任先の住居と会社とを通勤のため往復する行為は、当然に労災保険適用の対象となります。一方、家族の住む自宅と会社との間を直接往復する場合については、その往復行為に反復・継続性が認められるときには、労災保険の適用対象となる「通勤」に該当するものとされます。したがって、月に数回は自宅に帰っているという場合には、会社と自宅との往復中に起きた事故は通勤災害に当たるといえます。

では、金曜日に仕事を終えた後、一旦単身赴任先の住居に帰り、翌朝自宅へ帰る途中で交通事故に遭ったという場合はどのように判断されるのでしょう?

この場合は、単身赴任者が勤務先において労務を提供するために赴任先住居に居住していること、家族が自宅に居住していることからすれば、単身赴任者が必然的に行わざるを得ない移動であると考えられます。単身赴任先の住居と自宅との移動についても、業務との関連性を有するものについては、通勤災害として労災保険の適用対象とする運用がなされています。なお、移動の時期については原則として、単身赴任先住居から自宅への移動については勤務日の当日又はその翌日、自宅から単身赴任先住所への移動については勤務日の当日又はその前日に、それぞれ行われることが必要です。

④保険給付の内容について。

なお通勤災害に関して受け取ることのできる保険給付は、①診察、薬剤の支給、手術、入院など療養の給付である療養補償給付、②療養中の4日目から支給され、1日につき平均賃金相当額の6割が支給される休業補償給付、③身体に障害が残ったとき、その障害の程度に応じて支給される障害補償給付、④労働者が死亡した場合に、その収入によって生計を維持していた家族に給付される遺族補償給付など様々です。

以上を踏まえ、安全運転を!

通勤ラッシュ時の交通事故に巻き込まれたり、寒い朝に雪道を通勤中に転倒してしまったり…通勤経路には危険がいっぱいです。万が一事故に遭ってしまった場合に自分や家族の生活を守るため、労災補償の対象になる場合についてはよく理解しておくといいでしょう。

プロフィール

窪田@メディア事業部マネージャー
窪田@メディア事業部マネージャー
エスアイイーメディア事業部のマネージャーをしている窪田です。このメディア事業部サイトの管理人でもあります。普段は自社運営の求人サイトやブログ系サイトの企画・制作・運営をしたり、思い付きでサテライトサイトを立ち上げたりしています。サイトは主にWordPressを使うことが多いです。理由はめんどくさくないから。

こちらの記事もあわせてお読みください!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Facebookもチェック

PR

  1. WEBマーケティング

    2014-9-12

    SEO/SEMのコンサルティング、リスティング企画・運用を行っています。

    机上の空論ではない、成果に裏付けされたコンサルティング 当社では、自社サービスのWEBサイトのSE…
  2. 2014-9-7

    WordPressによるWEBサイトの受託制作を行っています。

    WordPressによるコーポレートサイトや採用サイト、商用サイトの受託制作を行っています。…
  3. 2014-9-2

    Eラーニングほか各種映像制作を行っています。

    Eラーニングほか各種映像制作を行っています。 Eラーニング映像や会社説明映像など、各種映像コン…
  4. 2014-1-2

    SPツールの受託制作を行っています。

    セールスプロモーションにおける各種制作を行っています。 ブランド構築からCI、各種SPツールま…
ページ上部へ戻る